夜間飛行|サン=テグジュペリ,堀口大學訳


夜間飛行 (新潮文庫)

「星の王子さま」は高名ですが、その他の作品は、意外に読んだことがない人が多いのではないでしょうか。
 ということで、夜間飛行、読んでみました。

 主人公は、郵便飛行業の支配人リヴィエール。彼は、非常に危険な夜間飛行を行なうことで、他社との差別化を図り、事業を成り立たせていました。
 夜間飛行は一瞬の気の緩みや、わずかな機器の異常で命を落とす危険があり、リヴィエールは危険性を少しでも減らすために、厳しい規則を設け、操縦士をはじめとする従業員に厳格に守らせています。
 例外をほんのわずかでも認めてはいけない。
 彼は、完全に中立の立場でなければならない監督ロビノーが、操縦士と個人的な親交を深めようとしただけで、罰を与えます。二十年働いてきた老職工の些細なミスにも、規則だからとくびを言い渡すのです。
 冷血漢と従業員からは思われていることでしょう。
 しかしその実、リヴィエールは従業員全員を愛しています。彼が憎んでいるのは、彼らの中にある過失なのです。
 それゆえ、リヴィエールは悩みます。「じゃあ、よろしい。今度だけは許してやろう」そう言うだけで、従業員の顔をよろこびに変えることもできる。くびを言い渡す書類を破り捨ててしまおうか、と彼は考えますが、ひとつたりとも見逃してはならないと、非情になることに決めます。
 そんな中、飛行機が行方不明になったという知らせが入り――

 リヴィエールの強い決意と勇気が胸にしみます。
「星の王子さま」とは全く違う雰囲気ですが、こちらも傑作です。ぜひ、ご一読を。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です