失楽園 上 岩波文庫 赤 206-2

 読んでおかねばなるまい、と思いながら、なかなか手が出なかった超古典文学をようやく読みました。

 あらすじは書くまでもないでしょうが、一応。
 天使の1/3を仲間に引き入れ、神に反旗を翻したサタン。彼らは神の御子の活躍により、敗北し、地獄へと落とされてしまいます。しかし、恨み尽きぬ堕天使たちは、神に一矢報いようと、神が新たに創り上げた人間という生き物の心に悪を植え付けることを企むのです。
 悪魔たちの頭領となったサタンは、単身、アダムとイブの住むエデンの園にもぐりこみ、イブに、禁断の果実である知恵の実を食べさせることに成功するのです。アダムは嘆き悲しみますが、イブと共に苦難の道を歩むことを決意し、彼もまた、知恵の実に口をつけてしまいます。神の命に背いた以上、アダムとイブはエデンの園で暮すことはできず、追い出されてしまいますが、彼らの間に生まれた人間たちが堕落しながらも、それでもついには正しい道を歩むことを天使ミカエルから教えられ、二人で共に生きていくことを決意するのでした。
 
 信仰のない身にとっては、いたるところに挿入される神の教えは、とくに心に刺さるわけでもありませんが、それでも読みにくいわけでもなく、むしろすらすらと読めます。上下巻と分厚いですが、叙事詩というのは割合読みやすいものですね。知識として読んでおきたいという人も、それほど抵抗なく読めるのではないかと思います。

 ところで、古典文学全般に言えることなのですが、注釈はうっとうしく感じられるときがままあります。本書はとくに顕著な気がしました。*印があるので、注釈を見ると、聖書の記述がただひきうつしているだけだったり。研究するという目的がない限り、本書に限っては、注釈は無視でも問題ないかと思います。