粘膜人間|飴村行


粘膜人間 (角川ホラー文庫)

 最近はホラーを読む比率が高くなった気がします。
 しかし、一口にホラーといっても、たくさんのジャンルがありますねえ。
 この作品、真藤順丈「庵堂三兄弟の聖職」が角川ホラー大賞を受賞したときの、長編賞受賞作品だということです。なるほど、これに大賞はあげにくいですね。一般受けがまったく期待できないでしょう。
 といっても、けなしているわけではなく、いかにもおどろおどろしく、不気味な雰囲気は、私好みです。
 江戸川乱歩の怪奇系の話が好きな人なら、お気に召すのではないでしょうか。

 利一と祐二の兄弟が、腹違いの弟である雷太を殺そうと考えることから、物語は始まります。小学五年生でありながら身長百九十五センチ、体重が百五キロという、尋常ならざる体躯の持ち主である雷太は、ある日、自分の持つ圧倒的な肉体の力に気づき、家族を制圧しはじめたのです。
 父親を暴行する雷太を見て、二人の兄弟は末弟の暴力がさらにエスカレートすることを確信し、村はずれに住む“河童”と呼ばれる男たちに雷太の殺害を依頼するのです。
 これをきっかけに、始まる悪夢の連鎖――

 はっきり言って、描写はかなりえぐいです。この書きっぷりに嫌悪感を覚える人もいるでしょう。しかし、それを承知の上で読むならば、予想外の展開も含めて、面白く読めると思います。
 グロテスクな内容を多く含むのにも関わらず、文体は非常に淡々としています。登場人物と適度な距離を置きながら、この薄気味悪さを描き切る著者の筆力はなかなかのものです。


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