「星の王子さま」は高名ですが、その他の作品は、意外に読んだことがない人が多いのではないでしょうか。
ということで、夜間飛行、読んでみました。
主人公は、郵便飛行業の支配人リヴィエール。彼は、非常に危険な夜間飛行を行なうことで、他社との差別化を図り、事業を成り立たせていました。
夜間飛行は一瞬の気の緩みや、わずかな機器の異常で命を落とす危険があり、リヴィエールは危険性を少しでも減らすために、厳しい規則を設け、操縦士をはじめとする従業員に厳格に守らせています。
例外をほんのわずかでも認めてはいけない。
彼は、完全に中立の立場でなければならない監督ロビノーが、操縦士と個人的な親交を深めようとしただけで、罰を与えます。二十年働いてきた老職工の些細なミスにも、規則だからとくびを言い渡すのです。
冷血漢と従業員からは思われていることでしょう。
しかしその実、リヴィエールは従業員全員を愛しています。彼が憎んでいるのは、彼らの中にある過失なのです。
それゆえ、リヴィエールは悩みます。「じゃあ、よろしい。今度だけは許してやろう」そう言うだけで、従業員の顔をよろこびに変えることもできる。くびを言い渡す書類を破り捨ててしまおうか、と彼は考えますが、ひとつたりとも見逃してはならないと、非情になることに決めます。
そんな中、飛行機が行方不明になったという知らせが入り――
リヴィエールの強い決意と勇気が胸にしみます。
「星の王子さま」とは全く違う雰囲気ですが、こちらも傑作です。ぜひ、ご一読を。