2001年の電撃ゲーム小説大賞金賞受賞作だそうです。ライトノベルにはなかなか手を伸ばさないのですが、わりあい評判がよかったので読んでみました。
タイトル通り、陰陽師のお話です。
とはいえ、すぐに思い浮かぶ安倍晴明は登場するものの主人公ではなく、陰陽道の名門・賀茂家の子息である慶滋保胤(よししげたねやす)が主役です。保胤は陰陽師としての才がありながら、文章(詩作、文書記録)の道に進んだ異端児です。
彼はある日、安倍晴明から、追放された外法師・弓削鷹晃の素性を探るようにと依頼されます。晴明の部下である清良とともに、鷹晃のもとを訪れた保胤は、鷹晃を中心とする怨念と陰謀に巻き込まれていくのです。
いやあ、巧い。
淡々とした語り口でありながら、見せ場はきちっと持ってくる筆力。
10人以上の主要登場人物がいながら、全員にまんべんなく活躍のチャンスを与えているところなど、話の作りこみを感じさせます。私がライトノベルを敬遠する理由の一つでもある、妙に高いテンションはなく、一般小説が主の人でも楽しめるかと思います。
もちろん、ライトノベルメインの人も。
男装、武闘派、果ては樹木の精まで、様々なタイプの美少女が大活躍です。男性陣も、無垢な少年から豪傑まで多種多様、よりどりみどりです。それぞれのキャラクターの個性が確立しているのが、またすごい。
個人的に、短い会話文でテンポを作るという形式が好きですので、この文章は私好みです。
当然シリーズ化されていますので、買いそろえてしまおうかと。