粘膜蜥蜴|飴村行


粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

 前作、「粘膜人間」が面白かったので、引き続いて購入しました。
 日本推理作家協会賞受賞作と、帯に大々的に書かれてあり、かなり期待して読んだのですが……うーん、前作のほうが面白かった気がします。話の構成も変わっていませんし、戦時下という設定も同じなのですが、何でしょう、ゆるい印象があります。

 国民学校初等科に通う、堀川真樹夫と中沢大吉が、同級生である月ノ森雪麻呂の家に招待されるところから物語は始まります。雪麻呂の父は、町で唯一の病院の院長であり、町への影響力も大きい人物です。
雪麻呂の下男は「ヘルビノ」と呼ばれる頭部が蜥蜴の「爬虫人」。雪麻呂が案内する病院内には、薄気味の悪いもの、精神に支障をきたした元兵士たちなど、奇妙なものがたくさん転がっているのです。
 そして、そこで起こる一つの事件。それをきっかけに、事件は連鎖していきます。

 確かに雰囲気は好きです。
 いかにもおどろおどろしい感じのうまい文章。

 なのですが、違うのです。
 この著者が書くもの、得意とするものは、胸クソが悪くなるほど嫌悪感を催す描写、または心理、と私は勝手に思っています。救いは特にいらないのではないかと。
 いかにも悪者然とした雪麻呂も、実際のところ、ただのマザコン野郎なだけです。
 根底のところでは、互いが互いを思いやるという、なんともこの著者らしからぬ(とはいえ、一作しか読んでいませんが)キャラクター設定。もっとぶっ飛ばして欲しかったな、というのが感想です。

 ただ、最後のシーンは好きです。ほどよく残る余韻がよいです。


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