ゼロ年代SF傑作選

 裏の説明文によると、「次世代型作家のリアル・フィクション」だそうです。
 冲方丁の「マルドゥック……」の外伝が載っているということで、購入・読破しました。
 とはいえ、うむう、どうもその他はほぼ外れだったような気がします。
 SFイコール星新一で時代の止まっている私ですので、間違っているのかもしれませんが、最近のSFはライトノベル出身の方々が主力なのでしょうか? それが悪いわけでは決してないのですが、作者紹介のところで、ノベライズやらゲームやらの言及が多くて違和感を覚えてしまいました。
 ちなみに、収録作家は、秋山瑞人、冲方丁、海猫沢めろん、桜坂洋、新城カズマ、西島大介、長谷敏司、元長柾木――恥ずかしながら、半分くらいしか知りません。その上、外伝やらスピンオフやらといった形式の短編ばかりで、もともとの作品を知らないと、楽しめないものが多いです。冲方作品はかなり良かったのですが、果たして、これは原作を知っているからなのかどうなのかが、あいまいですし。
 というわけで、このひいき目を差し引くと、面白かったのは、秋山瑞人「おれはミサイル」でしょうか。
 よくぞこの内容でここまで膨らませたと、感心してしまいます。
 地上を知らずにひたすらに飛び続ける戦闘機と、搭載されたミサイルとの交流の話です。
 淡々とした文章にコミカルな味つけが心地よい。上手いです。

 さてさて、本書には、様々な形態の小説が収録されていましたが、結局の話、実験小説で失敗してしまったら、単なる駄作なのですね。この中のどれとはいいませんが……